親から愛してもらえなかった…暴言や暴力が日常茶飯事だった…周囲からいじめを受け孤独だった…とんでもないことを目撃した…事件に巻き込まれた…大切な人がいなくなった…
こういった種類の痛みは、頑張って乗り越えたつもりでも、表面的なこころの問題を解決しただけで根本的な解決に至っていない場合があります。秘めた強いストレスのせいで、こころや体に病気の症状が出てしまったり、他人とうまく関係が持てず苦しむ方もいらっしゃいます。
心理セラピーではあなたの抱える痛みに向き合う必要がありますが、生きるために何とかこころの奥底にしまいこんだ痛みを、いきなり外に出すことには危険が伴います。トラウマから立ち直るためにはきちんと手順を踏み、一定の時間をかける必要があるのです。必要になってくるのは、気持ちを落ち着けるための「呼吸法」や「リラクゼーション」。トラウマやセラピーの意味を学ぶ「心理教育」。問題や症状のアセスメントなど。入念に準備をし、どのセラピーの技法を選択するか決めた上で、あなたのトラウマに向かい合っていく必要があります。
なお、長期反復的トラウマ体験による複雑性PTSDの方は医療機関での治療をお勧めしております。これは、お薬による治療も必要になる場合が多いため必要なことだと考えております。
Francine Shapiro先生が開発したEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、PTSDに対しエビデンスのある心理セラピーです。
トラウマ記憶を思い出しながら、眼球運動や他の両側性の刺激を与えることで、脳が本来持っている情報処理のプロセスを活性化できると言われています。この脳内が活性化することにより、これまで滞ってきたトラウマ処理を再処理することができ、自身の力で本来の人生を取り戻すことができます。
峰輝子先生が開発したホログラフィートークは軽催眠下のトランスワークや自我療法の一種です。
現在あなたの問題となっているネガティブな感情や身体症状(病気・痛み等)に焦点を当て、それが生じた最初の場面(起源)まで退行します。なぜなら繰り返される問題は、最初の場面の影響を受けているからです。起源にたどり着いたら、子ども時代のあなたのリクエストを基にした解決と癒しをはかります。そして現在へ戻り、今後の生活の中での注意点や行動課題を話しあいます。
Foa先生らの創始したPE療法(Prolonged Exposure Therapy:持続エクスポージャー療法)はPTSDに対する認知行動療法の1つです。
これまで避けてきたトラウマ記憶に、あえてさらされる曝露という作業(エクスポージャー)を繰り返します。曝露は、実生活の中で避けていたことに向き合う「現実エクスポージャー」と、トラウマ体験を話す「想像エクスポージャー」があります。回数を重ねるごとに痛みが和らぎ、体験を冷静に振り返りトラウマを乗り越えることができるようになります。